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サウンドクリエイター必見?! 琴のMIDIデータを生音で演奏するまで

こんにちは、株式会社ダンクハーツの長谷川春菜です🌼
※今回の記事制作はサウンドクリエイターAさんにもご協力を頂きました!

突然ですが皆様。
サウンドクリエイターから琴のMIDIデータを受け取り、楽譜を作り、実際に楽器で演奏をした経験はありますか?

私は…あります😎(⁉)
https://twitter.com/dankhearts_hr/status/1453625679161925632

社内で録音の準備を進めるサウンドクリエイターAさん(左)と、楽器を準備する長谷川(右)

「琴を使った楽曲について、生音で演奏して収録したい」というサウンドクリエイターAさんからのご連絡で始まった琴の収録作業。自ら楽譜を書き起こすだなんて経験初めてだった長谷川は、収録作業が落ち着いたときに思いつきました。この経験をnoteに記載することで、世のサウンドクリエイターと演奏家たちが新たな可能性を導き出せるのでは、と。

新たな一歩を踏み出そうとする音楽に関わるすべての方に向けて、この記事を書かせていただきます🔥
※「読んでいる時間はないけれど、僕の曲も琴で弾いてほしい!」という方はお仕事のご相談お待ちしております…‼(笑)



楽曲の制作

①MIDI音源の作成

そもそもサウンドクリエイターの皆さんはどうやってゲームの音楽をつくっていらっしゃるのか。
弊社のサウンドクリエイターの例で言いますと、彼らは楽曲制作時に『Digital Audio Workstation(以下:DAW)』を用いて『MIDI』と呼ばれるデジタルデータを扱っています。

DAWは様々な楽器の音色を再生できるので、特定の楽器を選んでからドレミの音をつなげて曲を作っています。これが世に言う“打ち込み”という作業です。 (概要程度にとてもざっくり説明しています)

今回もAさんはDAW上で琴を選択し、ドレミの音をつなげて楽曲を制作。完成した打ち込みデータが、MIDIと呼ばれる演奏データです。

楽譜の制作

①使用されている音の洗い出し

サウンドクリエイターAさんからまず頂いたのは、実際の曲のmp3データMIDIデータ(厳密には、ピアノロール表示された画面)のスクリーンショットでした。

楽譜を制作する第一歩としてはこのスクリーンショットだけでも問題ないのですが、実際の曲が聴けると作業中のテンションが上がります!!🙌(これがとても大切でした)

頂いたスクリーンショットは下図のように”ドレミファソラシド”の音名が英語表記されていました。ド=C レ=D といった具合で、ドから順にCDEFGABCの表記になっているということです。

音名が英語表記されたスクリーンショット

まずはこのMIDIデータのスクリーンショットを見ながらAメロ/Bメロ/Cメロ/サビなどのパートごとに「使用されている音の一覧」を書き出すところが楽譜制作のスタート地点です。

パートごとに使っている音を書き出す


一覧の書き出しが完了したら、重複音を削除してどの音があれば曲が完成するのかというシンプルな情報に直します。

曲中で使っている音の一覧をまとめる


②一番高い音を琴の”巾”に当てはめる

まずは前提知識から記載いたします。琴は全部で13本の絃があり、(基本的にはですが)体から離れた絃ほど低い音が出ます。
※ギターのようにチューニングをしてから演奏する楽器ですので、チューニング次第で音の高低は変わります。

またこの13本の絃には名前がついています。
一番遠い絃から自身の体に近い絃に向かって、
一 二 三 四 五 六 七 八 九 十 斗 為 巾 という名前です。
琴の楽譜にはこの漢字たちが並べられており、対応する絃を弾くことで演奏が可能です。(概要程度にとてもざっくり説明しています PART.2)

では、ここから①のステップの最後に出したシンプルな音一覧を実際の琴の絃に割り振ります。私の場合、一覧のうちもっとも高い音を”巾”にあてはめるところからスタートしました。
ただ、もしも「一番高い音がA#、次に高い音がA」であれば、私は巾にAをあてはめます。何かしらの#であれば、絃を押さえることで半音上がった音が出るというのが琴という楽器だからです。(この辺りは弊社の持つ技術とは別なので割愛します)

③巾以外に音をあてはめる

②と同様に巾から一に向かって、半音違いの音が続く場合はナチュラルな音をあてはめて進んでいきます。これでようやく楽曲の基本となるチューニングが決まりました。

どの絃をどの音でチューニングするかの決定


④MIDIデータの音名を漢字に直す

英語の音名に直ったことでMIDIデータのスクリーンショットに記載された音名と同じ表記までたどりつきました。ここからスクリーンショットとチューニング表を見比べて、実際に使う楽譜を制作する作業をします。
つまり、 CDGF→九十為斗 と表記していく翻訳作業です📝

⑤mp3を聴きながら音色を確認する

すべての音名を漢字に直せたら、次に音色を確認。
最初に頂いたmp3データを聴いていると、たまに一瞬音が上がったり/下がったり、揺れたり、という音色に遊びを入れられている部分があります。この部分もしっかり楽譜に書き起こして演奏時に再現できるように調整しておきます。(こちらの音色をアレンジする技法についても弊社の持つ技術とは別なので割愛します)



以上で楽譜の制作は完了です。
あとはこれを演奏すれば原曲通り弾けるというわけです👘🎧

収録時の防音室内


いかがでしたでしょうか。
世のサウンドクリエイターと演奏家たちの何かしらの気づきになっていることを…、そして、「今DAWでMIDIデータを作ってるから、いつか知り合いに実際に弾いてもらいたいな」とお考えの方のイメージが少しでも膨らんだことを願っております✨

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